研究概要 |
本研究であつかっている免疫ネットアルゴリズムは,次ぎの様な順で処理が進められる. 1.多様性の確保:遺伝子組み替えによる多様な遺伝子の生成とその対応ユニットの構築. 2.免疫寛容による自己認識の禁止:免疫寛容をもつようにユニット結合のパラメータを調整. 3.非自己学習:非自己パターンの提示に対し,以後その非自己パターンに素早く対応できるようにネットワークパラメータを調整. 今年度は、これらのそれぞれの処理をインプリメントし、線形の対象に対し以下の長期・短期の学習について理論的に解析した. ・長期学習モード(自己の学習):自己由来の擾乱(制御信号、基準信号)に対しては,活性化される認識ユニットはあるものの,それらがシステムに印加されるさいに,相互に打ち消しあい影響を与えないよう,それらの操作実行コンポーネントが調整される. ・短期学習モード(非自己の学習):逆に外乱に対しては,今度,同じ形状の外乱がきたとき,速やかにかつ強力に対処できるように操作実行コンポーネントが調整される. さらに、これらに対応する処理を考察し,具体的にソフトウェアとして構築した。そのシステムを用いたシミュレーションでは、以下の2つの学習を行うメカニズムを考察した。この外乱除去のシミュレーションにより、以下のことを確認した。 ・ある程度多様な初期遺伝子を用意することにより、どのような外乱でも除去できる。(用意する初期遺伝子は外乱の種類に依存せず、多様であればよい。) ・外乱の種類には周期的という仮定以外に制約はなく,ほとんどあらゆる種類の外乱を除去できた。 ・免疫記憶と同様に、おなじ外乱に2度目に遭遇した場合、1度目よりより早く効率的に除去できることを確認した。
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