研究概要 |
「インテンション」の発現機構を考えるために,ロボットハンド・指による物体のあやつり作業と触覚センシングに注目する.ロボットハンドが物体表面に接触したとき,両者間に生ずる幾何学的,また力学的な拘束について注目し,以下のような成果が得られた. (1)ロボットハンド・指を用いた物体のあやつり作業は,指と物体表面が1点接触するという仮定のもとに接触基礎方程式が表現されている.しかし,一般には両者の接触状態は触覚センサのコンプライアンス特性により分布接触となる.本研究ではその分布接触状態が静的に推移するものと仮定し,分布接触の重心位置を導出し,それを接触点として定式化する手法を与えた. (2)触覚センサ付き平行2本指ハンドを昨年度の研究で試作したので、物体把持時の分布接触状態の評価と接触点の導出を実験的に検証した. (3)指が物体表面と接触したとき,その接触点の近傍について表面形状を微分幾何学を用いて評価する手法を提案した.分布触覚像から接触点における第一基本量,第二基本量を求め,ガウス曲率,平均曲率を計算することにより,物体表面形状が分類できることを示した. (4)指が物体に作用するとき,その接触力を触覚センサによって評価する手法について与えた.指の作用力として力ベクトルで表現し,物体表面の法線方向,接線方向成分に分けられるが,触覚センサはその構成から法線成分を検出することを示した.
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