研究概要 |
本研究は,ロボットハンド・指を用いた物体のあやつり作業に生ずる物体と指との,接触状態に注目し,その接触状態を触覚像として検出する手法,その触覚像から物体の表面形状を推定する手法,そして指の操作を決定するインテンション機構の解決を目的とする. 本年度では産業用ロボットの手首部に搭載可能な触覚センサ付き手掌を開発し,2台の産業用ロボットを両腕として構成して,物体把持操作,その触覚像の検出等について研究を実施し,つぎに示す研究成果を得た. (1) 試作した手掌形触覚センサのサイズは,90mm x 120mm x 44mmで,触覚センサのセンシング表面は90mm x 120mmである.このセンシング表面は,その要素が38x50個のアレイ状(要素間隔 2mm)に構成され,触覚像として各要素が変位量ならびに圧力量として取得する. (2) 触覚像で与えられる分布形状を微分幾何学を用いて,その形状を推定するための定式化を行い,接触点近傍における物体表面形状の推定法を与え,実験的に検証した. (3) 指と触覚センサの接触点における触覚像分布に対して,その第一,第二微分形式の第一基本量,第二基本量を求め,ガウス曲率,平均曲率から物体表面形状の曲率半径と形状分類法について与えた. (4) 指が物体に作用するとき,その作用力を触覚センサの触覚像を用いて評価する手法を与えた.指の作用力を力ベクトルで表現し,物体表面の法線方向,接線方向成分に分解し,触覚センサによる法線成分の検出法について示した. (5) 物体の把持操作において,指の操作方向を決めるインテンションは,触覚像を用いて物体表面上の測地線に沿うように指操作行動を生成することが最適であり,この実験的な検証は今後の課題である.
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