研究概要 |
集中状態という場面は種々考えられるが、毛筆の書を書くときの脳の働きを測定した。筆を持ってから書を書き始めるまでの時間に注目して脳波を測定した。この場合、筆を持った段階からすでにベータ波は小さくなり、アルファ波領域で前頭葉に大きな電位が発生することが判った。このようなアルファ波の発生は気功などの集中状態で同様なことが観測されており、これは何かをはじめようとする場合のやる気の気であると考えられる。 所が集中するというんは比較的むつかしい。そこで気功において集中することを学ぶが、それができるようになるにはどのような練習課程でできるかを気功の練習年数について、生理的なデータで簡単に測定できることができれば便利である。一般の人で脳波を測定することは頭が汚れるためそれほど簡単ではない。 そこで、心拍数、血圧などの一般的な生理測定を気功を習い始めた人から、永年やっている方を複数測定して、そのデータを整理することで心拍のR点と連続血圧のR点等価時間(血圧は指先で測定しているため、ECGのR点と血圧の等価R点の間には時間的なズレが生じ、これは脈波伝搬時間と言われるものである)の間の差を測定すると、その時間の変化が熟練の程度で短くなることが判り、逆にこの時間でおよその熟達の程度も判るようになった。熟達した人の脳波は前頭葉でアルファ波の脳波が強いことから大脳の働きをおおよそ推定できる。 さらに,好きな匂を嗅がせた場合の大脳の働きについても研究を行ってみた。この実験では誘発刺激法による脳波の測定を行ったが、現状の所では好きな匂を嗅がせて約300ms程度の潜時後にベータ波が現われ、その後アルファ波が前頭葉から後頭葉に広がることが判ったが、実験方法を含めて現在も検討中である。
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