研究概要 |
自動的に個人を認識することは,情報化社会の進展に伴い大きな研究課題となっている.そこで,個人の手書きサインの筆跡に筆者固有の特徴が現れることに着目し,個人の認識を試みる.この個人サインの識別において最も重要な課題は,筆者の筆跡のどのような特性の中に個人の特徴が現れるかを明らかにし,その特徴を利用して効率よく筆者の筆跡を識別することである. 本研究ではオフラインでとり入れたアルファベットのサインから種々の特徴を抽出し,まずそれらの特徴の有効性を“あいまい度関数"を導入して確認し,それらの有効特徴を組み合わせてあいまい度を小さくし,そのシステムの識別度をできるだけ高くすることを試みた. さらに,従来,オンラインでの入力情報であった書き順情報をオフラインでの新しい特徴として導入した.以上の結果として,まずそれぞれ個々のサイン毎に,個別にあいまい度を最小とする特徴を選び識別を行なった場合の最高の認識率として91.7%を得た.一方,処理の高速化などシステムの効率向上のため,識別のための特徴を個々の筆者毎でなくシステムとして共通とした場合,認識率88.5%,判定時間約1秒であった. また,オフライン方式のサイン照合に書き順情報を加えたことは新しい試みであり,その有効性を示したことは特筆に値する.今後,オフラインで用いられてきた特徴にこの書き順情報を組み合わせて認識率の向上を計画している.
|