世界的にみても交通事故の件数は、増加傾向にあり、交通事故件数をより効果的に減少させることは、現代社会の重要な課題の一つである。パッシブ、アクティブセーフティなどの概念のもとに、シートベルト、エアバック等に代表される様々な装置や機構が開発されてきた。しかし、交通事故の数は、なかなか減らすことはできない。根本的に交通事故を減らすためには、人の認知・判断・操作特性などを配慮した研究をする必要がある。追突事故要因のドライバ運転行動からの解析、緊急時の障害回避挙動解析、ハンドル操作の心理的要素からの解析などが現在精力的に行われている。ドライバの緊張、疲労、眠気などの心身状態推定技術では、状態の推定に有効な生理情報、運転情報の研究など基本的研究のほかに、簡易なドライバの緊張、眠気の計測など方法の開発は、安全運転実現のため欠かせない要素の一つである。 本研究では、単調な長距離運転時における安全運転支援システムの構築を目的とする基礎研究として、ドライバの疲労、眠気などドライバの状態推定について考えた。ドライバの運転技術によって車両は揺らぎを持って運転されている。この揺らぎを計測することでドライバの状態推定が可能である。そこで本研究では、揺らぎを自動車の走行曲率の揺らぎと仮定しその揺らぎを計測する。走行曲率計測の原理は、円運動の基本的な公式をアイディアとして光ファイバージャイロセンサとスピードセンサにより自動車走行曲率を計算した。運転状態の指標として、運転特徴を表す周波数帯域で運転曲率のパワースペクトル積分値を用いることを提案した。走行曲率と疲労の関係は、実際高速道路走行実験によりアンケート、血圧データ、尿など生理データなどと比較し、ドライバの眠気、疲れと高い相関があることがわかった。したがって高速道路のような幹線道路においては、研究の指標により疲労等の検出が可能であるということが結論づけられた。
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