研究概要 |
本研究の目的は、自律航法を行う移動体に取り付けられたマルチセンサから得られる複数の情報を,自律航法に適した形で互いに補完・融合する方策を見い出すことにある。この研究では移動体として主に自動走行車を用いる。 平成8年度では、自動走行車で用いられるセンサとして、カメラとジャイロの補完性について考察した。一般に良く用いられるジャイロは、絶対位置に対する初期値の設定と内部状態に関する定常特性の変動という問題がある。一方、カメラからの画像データは膨大な情報量を有するため、計算量の問題点があるが、環境情報を取得できるという利点を有する。 本研究では、ある特定の通路環境において、画像環境情報に位置情報が含まれていることを指摘し、その位置情報を画像データから効率良く描出できるアルゴリズムを提案した。さらに、画像計測の本質を考慮するとジャイロで指摘されたような定常特性の変動性はない、という利点があるということ、および、連続した観測からの位置情報の高い精度は現状の画像取得装置では望めないことがわかった。提案する画像計測アルゴリズムの長所はジャイロの欠点を補うものであり、またその欠点はジャイロからの情報を用いれば十分高精度の位置情報を得られる。したがって、ジャイロの位置情報とこれを補完する画像情報の利用は、航法において絶対位置を知るのに有効であるとの知見を得た。
|