ファジィ制御系を設計する際、ファジィ推論の推論規則は従来試行錯誤的に設定していたが、最適問題に有効な手法として最近注目されている学習機能を有する遺伝アルゴリズムを用いて、メンバーシップ関数の最適な形状同定を試みた.そのために、ファジィ・プロダクション・ルールの前・後件部変数を三角型メンバーシップ関数で表し、各三角型の頂点を水平に移動させることにより、各メンバーシップ関数の最適解を求めた.まず、前・後件部変数毎の基本変化量を定め、それを整数倍する遺伝子を定義した.初期集団として遺伝子の配列がランダムに構成された個体群を生成し、ファジィ制御の結果得られた整定時間を適応度として採用した.自然淘汰により適応度の低い30%の個体を削除し、エリート保存法により適応度の高い30%の個体を選びだし交叉を行い、10%の確率で突然変異を起こさせた.このような遺伝アルゴリズムによる学習の結果得られたメンバーシップ関数を用いてファジィ制御系を構成した.このファジィ制御系の有効性を確認するために、風胴とその内部に加熱部、送風部、そして風胴内温度を測定する温度センサにより構成される風胴温風系のファジィ制御実験を実施した.次に、プロセスの代表的制御量である流体系温度と液位が強い相互干渉を有する流体温度液位干渉系プラントに対して、温度と液位を同時に複合制御する2変数ファジィ制御を行った.さらに、多変数制御系の非干渉化法としての逆ナイキスト配列法による周波数領域での非干渉化前置補償器、時間領域での積分型非干渉システムと最小次元オブザ-バによる非干渉化PID制御との比較検討を行い、その有効性を確認した.
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