本研究は、鉄筋コンクリート部材の非貫通ひび割れ(引張側に発生したひび割れが部材の中立軸付近で止まっているもの)とその部材の透水性との関係を実験的に調べることを目的としたものである。前年度に引き続き、本年度は供試体の全表面をシールし、コンクリートの含水状態を一定にして実験を行った。また、造影剤の注入圧力の大きさの測定範囲を広げ、高圧状態でのひび割れを通る水の拡散係数を求めた。さらに、本実験で使用した造影剤との水の浸透性状について実験を行った。 実験の結果、(1)コンクリート供試体の全表面をシールして、含水状態を一定にした場合には、シールしなかった供試体に比べて浸透領域面積は小さくなった。これは、シールしなかった供試体は、乾燥収縮の影響でセメントペースト中の毛細管の間の水和生成物の一部が破壊され新たな水の通路ができたためではないかと思われる。(2)造影剤の注入圧力を245kPa、490kPaで行った場合、浸透領域面積は、圧力が高くなるほど大きくなり、その関係はおよそ1:2となった。(3)水と造影剤(濃度59%、30%、20%)の動粘度を測定した結果、水:濃度20%:濃度30%:濃度50%=1:1.02:1.04:1.06となった。
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