研究概要 |
抗張力部材としてのケーブルと抗圧材としてのリンク部材を組み合わせ,各部材にプレストレスを与えると,一つの安定な構造体(テンセグリティ構造)が得られる.この構造につき一連の基礎的な考察を行った. (1)文献調査:テンセグリティ構造に関する研究はまだ数が少ないので文献の調査から研究を開始した.現在この方面で進んだ研究がなされているイギリスとフランスの文献を主として収集,内容を検討した. (2)解析手法の研究:既往の研究において開発した「曲線要素を用いた有限要素法によるケーブル構造の大変形解析」の計算プログラムを基本として,これにリンク部材の大変形解析用のルーチンを付加して,テンセグリティ構造解析用のプログラムのプロトタイプとした.テンセグリティ構造では,どの部材にどのようにプレストレスを与えるかが設計上重要なポイントとなるから,プレストレスの導入や解除などが容易に行えるようにプログラムを整備した.今後さらに汎用的なプログラムに発展させる. (3)計算プログラムの検証:2次元のアーチ型テンセグリティ構造について基本的なケーススタディを実施し,プログラムの有用性を確認した.引き続き3次元のダブルレイヤー・タイプの構造について若干の試算を行い,今後の見通しを得た. (4)模型の設計と製作:この種の構造物の開発にあたっては,実験室内での精密モデルが有用な情報を与えることが多いので,2次元のアーチ型モデルと3次元ダブルレイヤー型モデル(いずれもスパン長は約60cm)を設計し,載荷実験を行うことを計画した.現在両モデルが完成,次年度に載荷実験を行う.
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