研究概要 |
本研究は,リアルタイムの地震応答解析と繰返し載荷を組合わせたオンライン試験(ハイブリッド試験)に,Darcy則に基づく排水量の制御を取り入れ,地震力による剛性低下と部分排水条件を反映する形で,砂地盤の液状化特性を調べたものである.オンライン試験に用いた中空ねじり三軸装置には,精密位置決めテーブルとピストンを組み合わせた排水制御システムを新たに導入した.この結果,排水量を直接制御することが可能となり,データにばらつきがなくなるとともに,精度も大幅に向上した. 排水制御は,排水性能の高さを表す排水係数を設定し,過剰間隙水圧にこの係数を乗じた体積ひずみが単位時間内に生ずるように行った.排水係数は,地盤材料の透水係数が大きく,透水距離が短い程,大きな値をとることになる.排水係数を変えて実験を行った結果,メンブレンペネトレーションを補正した真の非排水状態から排水状態まで,液状化特性が遷移的に変化する様子が示された.加速度が小さく,排水係数が大きな試験では液状化が生じないが,排水が追いつかず間隙水圧が有効拘束圧の65〜70%に達する場合には,その後間隙水圧が急上昇し液状化することがわかった. 細粒分(カオリン)を含む砂の排水制御液状化試験では,細粒分が5%の時に液状化強度が最も大きく,さらに10%,15%と増加すると強度は低下した.一方,静的三軸試験では,細粒分含有率が増加するにしたがって強度は低下し,繰返し載荷時とは異なる傾向を示した.静的試験における中ひずみ域までのダイレタンシー比は,細粒分が5%の時に最大となっており,これが繰返し載荷試験の特性に反映されているものと考えることができる.なお,粗粒材料については,排水制御試験を行う準備段階として,三軸試験により,相似粒度やメンブレンペネトレーションの影響について基礎的な検討を行った.
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