研究概要 |
細粒分を有する砂質土の液状化特性に及ぼす年代効果の影響を定量的に把握するとともに、液状化過程における砂の微小変形特性の変化状況とこれが液状化強度に及ぼす影響を明らかにすることが本研究の最終的な目的である。今年度は、載荷速度を連続的に広範囲に変化させることができる載荷装置の製作と、豊浦砂の排水三軸圧縮・伸張試験及び非排水繰返し三軸試験の途中での微小変形特性の測定を実施した。 新しく製作した載荷装置は、回転速度を最大約1000倍の範囲で連続的に変化させることができるACサーボモーターを駆動源として用いている点が特徴的である。モーターの回転運動は、予圧ナットを有する精密ボールネジにより直線運動に変換されるが、この間にギヤボックスと電磁クラッチおよび電磁ブレーキを介在させることによって、バックラッシュのない載荷方向の反転と、安定した静止状態の保持が可能なシステムとなっている。 三軸試験は、直径10cm,高さ20cmと直径5cm,高さ10cmの2種類の大きさの供試体を用いて行った。気乾状態の豊浦砂を用いて空中落下法または突固め法により相対密度70%程度の供試体を作成し、脱気水を通水して飽和させた。まず、平均有効拘束圧を一定にした排水三軸圧縮・伸張試験の途中のいくつかの段階において、排水状態で軸方向に微小な除荷・再載荷を実施することにより、軸方向のヤング率が基本的には軸応力の関数であり、応力状態誘導異方性を有することを確認した。また、同じ試験において非排水状態で測定した微小変形特性を、応力状態誘導異方性に加えて初期異方性とメンブレンペネトレーションの影響も考慮することにより説明できることを示した。さらに、非排水繰返し三軸試験の途中での非排水状態の微小変形特性の測定も実施し、その定性的な変化は上記と同じモデルで説明できるが、定量的には特に三軸伸張側で一致しない点が見られることを明らかにした。
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