研究概要 |
平成9年度は,地震時に盛土による偏荷重を受ける砂地盤の液状化による側方流動(残留変位)が群杭基礎を有する橋台に与える影響について調べた.地盤に残留変位の発生には,地盤の完全液状化により大きな残留変位が生じる場合と剛性の低下がそれほど著しくないものの残留変位が生じる場合とがある.地盤変形により構造物に作用する荷重を考えると,必ずしも前者が基礎に大きな荷重を作用させ,破壊するとはいえない.そこで地盤の相対密度を変化させ,液状化の程度と杭に作用する荷重の関係について調べることを目的として遠心模型振動実験を行った.実験では2列12本の杭を配し,杭間隔を杭径の3.5倍とした.実験を行った結果,以下のような結論が得られた.即ち,1)地盤の残留変形は,杭本数を増やし,より橋台をより剛性の大きい構造にすることにより,大きく抑制される.また,その結果地盤変形が水辺側に比べ盛土側で大きくなる.2)構造物の最終残留変位量は,地盤の相対密度に強く依存し,相対密度が小さいほど大きくなる.3)盛土側に位置する杭の間をすり抜けて水辺側の杭に作用する荷重は,盛土側のそれと比べて減少する.またその減少割合は大きく,ほとんどの荷重は盛土側の杭が受け持つ.また,上記の結論3)の杭の荷重分担率については,解析的にも検討した.その結果,実験で得られたほど盛土側と水辺側の荷重の分担率の差は大きくなかったが,定性的には実験結果をシミュレートすることができたといえる.
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