研究概要 |
1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震により六甲山系山麓に分布する宅地造成地においては約5,100カ所が被災を受け、内約2,400カ所では今後の安全のために何らかの対策が必要であると判定された。 本研究ではこの地震により地盤の沈下、擁壁のはらみ出し等の変状被害が発生した宅地と、それに隣接する変状被害が発生しなかった宅地の両方に対して地震応答解析を行うことにより変状被害の発生原因を明らかにすることを目的とした。この目的を達成するために、本研究では既存のボーリング資料のある被災宅地を解析対象地として選定し、この解析対象地の浅層地盤構造及び物性値を得るために反射法弾性波探査を実施した。その結果被災宅地および無被災宅地の浅層地盤構造は表層と基盤の2層構造をなすこと、被災宅地表層のせん断波速度は130m/s、無被災宅地のそれは140m/sであることを求めた。 本研究では動的応答解析手法として二次元有限要素解祈プログラムSuper FLUSHを用いた。解析の結果、最大応答加速度の絶対値及び分布は被災宅地及び無被災宅地の間で大きな違いはなかったが、応答せん断ひずみ分布では両者は大きな違いを示し、無被災宅地では被災宅地に比して約60%の小さなひずみしか生じていないことが明らかになった。これより被害の原因は大きなひずみに起因する変形によるものではないかと考えられる。 このためNewmark法を用いて、入力加速度と応答加速度を用いて残留変形解析を実施した。その結果地震応答解析により求められた応答加速度を用いると26.6cmが得られた。これは現実に発生した変形量約50cmには及ばないものの入力加速度により求められた残留変形量9.7cmより大きな値となり、今後は応答加速度を用いた方が残留変形量を推定するには妥当であることか明らかになった。
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