研究課題/領域番号 |
08650584
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
成田 国朝 愛知工業大学, 工学部, 教授 (90064956)
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研究分担者 |
奥村 哲夫 愛知工業大学, 工学部, 助教授 (70078913)
木村 勝行 愛知工業大学, 工学部, 助教授 (70064954)
大根 義男 愛知工業大学, 工学部, 教授 (00064931)
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キーワード | フィルダム / 遠心模型実験 / 越流崩壊 / 浸透破壊 / 間隙水圧 / 斜面保護工 |
研究概要 |
昨年度の基本実験の継続として、一定の遠心加速度の下で貯水池空虚状態及び定常浸透状態から上流側水位を上昇させ、堤体内の間隙水圧挙動を観測しながら越流を再現して堤体崩壊が生じる過程を詳細に観察した。この結果、(1)堤体の越流破壊は、その初期段階では斜面表面のガリ浸食が支配的であるが、その後は水位上昇前の堤体内部の浸透領域(飽和域)の形成状況によって崩壊過程に変化が見られた。すなわち、貯水池が空虚状態で飽和域が小さい場合は下流側の斜面中腹部から下部にかけてパイピング破壊が上流側に向かって進行するのに対し、定常浸透状態のように初期飽和域が大きい場合は、下流側斜面にほぼ平行してガリ浸食による破壊が進行し、最終的にパイピングを併発して堤体破壊が生じる。(2)これらの破壊形態は堤体内部に設置した間隙水圧形の計測結果にも反映されており、空虚時からの越流では下流側の浸食され易い不飽和領域の残存と、上流部での浸潤面の急激な変化(大きな動水勾配)が主としてパイピングに起因する破壊を誘発したものと推察される。(3)上記の模型実験に対してFEM飽和・不飽和浸透解析を実施したところ、水位の急上昇に伴う堤体内の間隙水圧の動向を定性的によく説明できる結果を得た。ただし、浸透破壊の定量的な評価については、材料特性の表現方法の改良を含めて未だ十分とは言い難く、今後の検討課題として残された。 斜面保護工の設置効果に関する実験では、2,3種類のブロック保護工を施した堤体模型を作製して遠心実験を行ったが、保護工模型の相似性や作製方法に未だ難点があり、予備実験の域を脱せない段階にとどまった。上記の解析的評価を含め、実設計・施工への反映については更なる研究の蓄積が望まれる。
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