研究概要 |
本研究では、まず、都市域の重要な構成要素について周辺の熱環境に与える影響について評価した。ここでは舗装材について着目し、アスファルト、コンクリート、浸透性舗装、保水性舗装の熱特性を野外実験によって把握し、地中水分の蒸発効果の有する保水性舗装の大気の加熱に与える影響が最も小さいことを明らかにし、これを数値モデルによっても検証した(ヴ・浅枝・ユスフ,1996、他)。 次に、こうした様々な構成材料が立体的に組み合わさって形成されたストリートキャニオン等の熱環境評価を行った。ここでは、建物の背後の気流と熱の同時移動を考慮した3次元LESモデルを開発し、大気の瞬間的な熱環境の構造をシミュレートした。この解析において、地表面の状態をアスファルトと保水性舗装の2通りを用いて比較した。その結果、地上気温は日中で約2度の差が生ずると見積もられた(Vu,Asaeda,Ashie,1996、他)。 さらに、これを市街地スケールの評価に用いられる形にまで一般化するため、これまでに得られた情報を元に、市街地規模の気温、湿度の解析を行う際の境界条件となる地面、壁面、屋根面の熱交換を考慮した3次元のビルキャノピ-モデルを開発した。モデルを用いて、市街地規模の熱環境の特性を日変化の規模で再現し、実際に、1つの街区を実測し、モデルの有効性についても検討した(浅枝・藤野・ヴ・足永,1997、他)。 最後に、植生の熱・水分移動特性について、そのメカニズムを明らかにし、定量評価するためのモデルを現在開発し、その有効性を検証するための実測も行ってもいる。これを市街地スケールのモデルに組み込み、都市の熱環境の予測モデルを確立する予定である。
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