研究概要 |
本研究では、1)都市域の主要な構成要素である舗装の熱環境に与える影響についての実験、2)1)の解析モデルの開発、3)街区スケールの熱環境と周囲の環境条件との関係に関する実測、4)3)のスケールの数値解析のモデリング、に着目し、それぞれの成果をAsaeda et.al(1996),浅枝ら(1997),藤野ら(1997),福田ら(1997)等に、論文としてすでに発表している。 内容としては、1)では各種舗装材料であるアスファルト、コンクリート、浸透性舗装、および保水性舗装の熱特性を野外実験によって把握した。ここでは、自然状態においては浸透性舗装は表面温度上昇抑制効果はほとんど期待できないのに対し、保水性舗装では数日間にわたってその効果が期待できることを実験的に明らかにした。2)では、地中水分の蒸発効果の有する保水性舗装の大気の加熱に与える影響について、この現象を再現する数値モデルを開発した。モデルは従来砂や粘土を対象にした熱・水分同時移動方程式を適用することが有効であることを示し、保水性舗装の熱収支を定量的に評価した。3)では、低層密集住宅街の熱環境の気象観測より、街区スケールでの熱環境特性の把握と周囲の環境条件の環境条件について明らかにした。特に、規模の小さい街区でも周囲との気温差が2度以上生じ、さらにキャノピ-内外の熱環境の違いについても言及した。4)では、既存のメンスケールモデルを改良し、ビルキャノピ-および森林キャノピ-の風、熱に与える効果をモデル化した。このモデルではビルの天空率を考慮し、放射環境を精度よく解析することを可能にし、従来困難であった都市キャノピ-からの顕熱輸送量を地表面、建物壁面、および屋上面それぞれより見積り、これらの建物密度との関係についても明らかにした。
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