研究概要 |
植生による飛砂制御に向けて,植生と飛砂を伴う風の挙動について把握するために,飛砂制御に役立つとされるコウボウムギをモデル化して,風洞実験と数値解析の両面から検討を行った.風洞実験により,植生モデルによる風速に減衰により,飛砂の堆積現象が見られ,植生通過後も減衰をしていることから,汀線付近での植生による飛砂制御が有効な手段であるといえる. 数値解析においては,非平衡状態の解析により底面掃流力と単位時間・単位面積あたりの飛砂数密度の変化量の関係を数式化し,それを取り込んだ解析を試みた.風速分布の風洞実験結果との比較により,概ね実験値を再現できることが確認された. 一方,現地での飛砂測定法に関連する研究も行った.サルテーションから成り立っている飛砂では,捕砂器のようなトラップに上流端から指数分布で減衰するパターンで堆積すること,それがサルテーション長の分布に起因していることがわかった.したがって水平捕砂器を縦断方向に分割することによって,堆積分布を外挿してあるいはサルテーションについての知識から実際には捕捉しえなかった量も推定して,飛砂量の測定が出きるこ.このことから,次に水平捕砂器を横断方向にも分割,結局メッシュ分割された捕砂器を試作した.捕砂器が風向に平衡に置かれていないと,横断方向に縦断方向堆積分布が異なることでチェックできる. さらに,この堆積率の縦横断分布から風向と飛砂量を同時に測定する方法を提案した.サルテーション粒子の挙動をシミュレートして風向と捕砂器の設置ずれ角度ごとの堆積率のパターンと計算,風洞での実験により計算の再現性がすぐれていることを確認し,逆に任意の角度で設置して得られた結果より風向,飛砂量を推定する方法を提案した.風洞実験結果を用いて推定精度を検証したところ,風向,飛砂量とも充分な精度で測定できることがわかった.
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