本研究の目的は、被災を前提とした道路交通網の回復・管理を支援するシステムの構築である。前年度には都市レベルと地域レベルを対象として、(1)都市レベルの大規模道路網ネットワークの道路網容量の算定とカット行列およびODカット行列の算定手法の開発と(2)地域レベルで都市間の時間距離行列に基づく被災道路網の最適復旧モデルを構築した。 本年度は都市レベルでは主として道路網の交通処理能力からみた交通需要抑制策、災害時における発生・集中可能交通量について検討し、特に緊急車両を考慮した震災時に処理し得る発生・集中可能交通量を算定するアルゴリズムを開発した。また、地域レベルでは、前年度に開発した被災道路網の最適復旧モデルをさらに発展させて、道路網の被災リンクが回復するにつれて交通の迂回経路の変化を分割配分シミュレーションにより探索する方法を組み込み、かつ複数の復旧班の協力を考慮したGAによる被災道路網の復旧スケジュールを検討するモデルを構築した。 以上、2年度にわたる研究において、都市レベルおよび広域レベルにおける被災道路網の回復管理支援システムを構成する基礎的な方法論を構築することができた。
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