研究概要 |
一般的な歩道や縁石の段差は健常者へは何ら困難を感じられないが、高齢者・身体障害者や車椅子利用者からすれば通行の傷害となっているケースが考えられる。本年度の研究では、高齢者・車椅子利用者の方々の御協力を得て、実験的に高齢者の歩行特性を求めた。また車椅子の走行から走行路面の凹凸による車椅子の振動を測定し、乗りごこち(不快感・苦痛など)を口頭アンケートで聞いた。 歩行実験は歩行測定範囲3m区間を設けて、被験者として年齢別(60,70,80代)の男女13名、および同じ条件のもとで健常者(20代の男性)を歩行させた。ビデオカメラで足全体の動きを撮影し、歩幅、歩行速度、足の跳ね上げ角度などから足の運びの軌跡を求めた。また、同時にレーザー判別センサーを用いて足の最低点の高さを計測・記録し、つま先あるいはかかとのいずれが最低点であるかはビデオ撮影と照らし合わせて判断し、高齢者と健常者を対比し高齢者の歩行運動の特徴を定量化した。 車椅子の走行実験は、大学構内の歩道と人為的な凹凸な走行路面をアクリル板の厚さ2,3mmで幅50,90mmの矩形板を作成し角に丸みをつけた。矩形板をそれぞれ50,90mmの間隔で並べた擬似路面(走行範囲1.5m)を設ける。30代(2名),40代(1名),50代(3名)の6名の男性を被験者として自走、他走による走行時の車椅子の上下振動を加速度計を用いて測定した。各走行ケースにおける被験者の走行反応を乗りごこちとして段階評価方式で口頭質問をした。路面の凹凸状況における車椅子の振動と乗りごこちとの比較評価を行った。
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