本研究の目的は「コミュニティバス」を対象にして、まず様々なタイプのコミュニティバスの実態を明らかにその特徴を整理する。第二にコミュニティバスの評価、つまり利用者からみた安全性・快適性・利便性・乗りやすさなどの「サービスの質」に関する評価を行なった。その結果を以下の2つに分けて示しておく。 (1)コミュニティバスの特徴の整理 コミュニティバスは自治体の補助を前提に運行するもので、その特徴をら以下に整理した。 (1)バス路線のない地域の全ての人のモビリティ確保、つまり人口低密度地域や都市部でバス路線が無いか交通不便地区で運行するもの。 (2)高齢者・障害者にサービスの重点を置いたものもある。 (3)車両は比較的小型の車両が多く、高齢者・障害者に配慮したリフトや補助ステップなどを整備したものもみられる。 (4)運賃については一般運賃もあるが、高齢者・障害者専用バスは無料運賃、住民の利用促進を計るため安く設定(100円)したり安い回数券を販売するなどを行っている。 (2)サービスの質の評価 (1)コミュニティバスの「サービスの質の指数」は一般バスより高いことが確認できた。また同じコミュニティ型のバスでも「サービスの質の指数」の違いを数値的に把握することができた。 (2)多くの運行事例では評価大項目の「(2)快適性」「(7)安全性」の満足度が高いことが分かったが、「(5)運行時間帯」の満足度は共通して低いことが分かった。また、一部については「(1)定時性」「(4)利便性」など、交通機関で基本的に要求される評価大項目で満足度が低いことが分かった。 (3)重み付け値と満足度の関係より、バスサービスを改善するための知見を得ることができた。
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