1. 研究の目的:本調査研究は、高速道路の注意喚起標識を調査対象とし、各道路管理者が行ってきた道路特殊部の標識・標示に関する事例調査と設置による効果等の分析を行い、注意喚起標識の内容・デザイン・設置方法等の検討を行うものである。 2. 運転者注視挙動調査: 本四連絡橋垂水ジャンクション等複雑な路線における勾配区間の追突防止のための注意喚起標識や急カーブに対する注意喚起標識等の特殊標識を中心に一般の案内標識も含めた標識全体に対する運転者の注意挙動をアイマークレコーダーを用いて収録すると同時に、走行車の標識や各100mポストの通過時刻を音声にてテープレコーダーに納めることにより、アイマーク録画中の走行位置に関するデータを収集した。 3. データ解析: アイマークが各標識に留まるフレーム番号を逐次追跡することにより、運転者の各標識に対する注視時刻と注視時間が求められた。さらに注視時刻に対応する走行位置から注視距離も求めることができる。以上のデータを各標識列あるいはドライバー毎に集計・分類して数表化・グラフ化して運転者注視挙動の全容把握のための基礎資料とした。 4. 確率統計解析: 上記で求めた注視時間、注視率を目的変量とみなし、各標識のデザイン、寸法、設置方式、設定間毎等を説明変数として数量化理論を適用して、各説明変数に対するレンジや偏相関係数を求め適切な注意喚起標識の設定方法に対する指針に向けた知見を求めた。 5. 総合評価: 以上の検討を取りまとめるとともに、注意喚起標識設置の事前・事後の事故発生状況を個々の標識について追跡し、上記の確率統計解析の目的変量である注視時間・注視距離・注視率の有効性を判定し、設置方法や補完手法に対する指針作りに向けた知見の総合的な整理を行った。
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