研究概要 |
本研究は,新潟県湯沢町を調査対象とし,冬季観光交通による交通渋滞問題と湯沢町における観光産業の実態,さらには15,000戸ものリゾートマンションを取り巻く諸問題の解明を行い,観光産業を中心とするリゾート地域の今後のあり方について調査・検討を行ったものである.昨年度は,交通渋滞問題をTDMの観点から評価するための交通流動シミュレーションモデルの開発と,具体的な渋滞対策についての検討を行った.本年度は,リゾートマンションのオーナーを対象として,マンションの利用実態と湯沢町内での生活を通して,今後のリゾート地域のあり方について分析を行った.具体的な調査としては,マンションの利用状況,マンションの付帯施設や管理状況,町内での生活環境に対する評価,マンションの資産価値と売却意思,湯沢町のイメージ調査,さらには観光パスポートの購入意思等である.その結果,以下のようなことが明かとなった.マンションの利用状況は,1年間に全く利用したことがない人が,全体の20%もあり,また毎月の利用も9%であり,利用状況は必ずしも高い値ではない.特に利用月としては冬季に集中していることが分かった.またマンションの資産価値に関しては,1990年当時と比較して大きく価値が下落しており,その傾向は今後も続くものと思われている.マンションの売却については,約25%の人が売却したいと思っているが,現状での売却は困難であるとの認識が高い結果となった.以上の分析結果を総合すると,マンションに利用頻度を上昇させ,湯沢町の活力向上のためには,生活環境の整備は勿論のこと,地域イメージの向上やオーナーに対する優遇処置が必要であることが分かった.
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