研究概要 |
本研究では,高架道路側道からの自動車騒音について,高架道路の床板裏面や橋脚による反射の影響を模型実験を基に検討した。実験は,1/40の縮尺模型で行い,得られたデータは,基本的には自動車騒音の代表的なスペクトルを想定した場合のA特性音圧レベルとして取り扱った。検討したケースは,半自由空間のケース,床板裏面のみの影響をみるケース,橋脚のみの影響をみるケース,床板裏面と橋脚の影響をみるケースの4種類と,その4種類それぞれに対し,受音点側の側道の端に遮音壁を設置した場合の計8ケースである。このすべてのケースについて,音源を受音点側の側道上に置いた場合(音源位置S1)と反対側の側道上に置いた場合(音源位置S2)について実験を行った。 その結果,次のようなことが明らかになった。まず,遮音壁がない場合,音源位置S1のときは,床板裏面や橋脚の影響はほとんどみられないが,音源位置S2のときは,床板裏面での反射により約3dBの増加がみられ,橋脚の影響については有限長障壁としての効果がみられた。一方,遮音壁がある場合についても,基本的には,音源位置S2のときに,床板裏面での反射の影響が大きく,約12dB増加しており,橋脚の反射の影響も1dB程度みられた。 また,本研究での模型実験結果を基に,計算による予測手法についても検討した。すなわち,高架裏面の床板については,スリット法と呼ばれる一種の回折計算を行うことにより,また橋脚についても,音源と受音点を結ぶ線上に橋脚がある場合とない場合に分け,スリット法の考え方を用いることにより,計算値が実験結果に比較的よく合うことを示した。
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