研究概要 |
まず、浸出水中の変異原物質の起源となる廃棄物種を見つけるために、現在一般廃棄物埋立地に多量に処分されている焼却灰、破砕不燃ごみ及び中間処理されずに埋立処分される場合を考慮して都市ごみコンポストについて変異原性を調査した。変異原物質の抽出は、各廃棄物を環境庁告示13号法に準じて水溶出した後、ジクロロメタンで液-液抽出を行った。その結果、焼却灰では変異原物質は全く検出されなかったが、破砕不燃ごみ及び都市ごみコンポストにおいて、水溶出後pH2で抽出したものに変異原活性が認められ、活性の強さは各々13,000(net reuertants/kg waste)及び35,000(net reuertants/kg waste)であった。以上の結果から、(1)変異原物質は我々の日常品の中に含まれている、(2)それらの好気性代謝によっても生成される可能性がある、(3)変異原物質のほとんどが酸性物質であったことから、強アルカリ性を示す焼却灰から水溶出され難い等が考えられた。 次に、上記の実験に供した廃棄物3種を混合し、空気侵入量が異なる2つの埋立模型槽(準好気性槽循環式準好気性槽)に充填した後、定期的に浸出水中の変異原活性を調査した。その結果、空気侵入量が多い槽ほど変異原活性が高く、活性の出現及び消失時期も早いことがわかった。また、別に同様の廃棄物を充填し、3年経過した埋立模型槽2基(嫌気性槽、準好気性槽)から槽内の廃棄物を取り出す機会を得たことから、それら廃棄物についても変異原活性を調査した。その結果、酸素濃度が1%以下の部位から採取した廃棄物では全く活性は認められなかった。酸素濃度が5〜20%の部位では、7000〜8000(net reuertants/kg waste)の活性が認められた。これらの結果から、埋立地内で変異原物質を効率よく分解するためには、できるだけ埋立地内に酸素が侵入し易いように埋立地を設計することが必要であることが示唆された。
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