鉄筋コンクリート内部柱梁接合部立体架構の破壊性状に対する梁主筋付着性状の影響を実験的に検討した。試験体は実大の約1/2スケールのスラブ付十字形柱梁部分立体架構で、梁が降伏する際の接合部剪断入力量(byτj)が、2.0 σB を基本とし、載荷履歴を変化させたもの、入力量は同じで梁主筋径を用いて梁主筋の接合部内の付着性状に変化させたもの、入力量が1.3 σB のもの、計4体製作した。梁主筋断面積を同じにしたことにより、梁主筋が2段配筋になる試験体については、配筋の影響についても検討を行った。加力は、柱に定軸力(σ0=σB/6:σBはコンクリート圧縮強度MPa)を導入後、XY構面方向に交互に正負繰り返し変位漸増の水平加力を基本として行った。以下に、結果を示す。 1. 梁降伏時接合部剪断入力量が2.053程度の試験体は、全て梁降伏後に接合部の剪断破壊が進んだが、耐力低下は平面接合部試験体ほど顕著ではない。 2. 一方向に層間変形角1/20までの正負繰り返し加力を行った後に直交方向加力を行った試験体では、初期の段階から剛性が著しく小さく耐力も大きく低下した。これは、直交方向での加力によって接合部コアコンクリートの損傷と梁主筋の付着が劣化したことが原因と考えられる。 3. 直交梁が降伏た後でも接合部コアコンクリートの拘束効果が認められた。 4. 接合部剪断入力量が小さく梁曲げ破壊した試験体においても、等価粘性定数は高入力試験体と相違なかった。 5. 最大耐力後に剪断破壊に移行する場合には、梁主筋径を変えて付着性状を変化させても架構の履歴性状に影響は見られなかった。
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