一層一軸偏心線形系について行ってきた基礎的な検討の成果を、等分布質量をもつ細長い長方形平面に適用し、そのねじれ振動の基本的特性について検討した。 まず予備的検討として、種々の剛性分布に共通する特性について検討し、つぎの点を明らかにした。平面の辺長比の影響が極めて大きく、ねじれ特性に関与する剛性成分、偏心比・弾力半径比がとりうる範囲、応答に与えるねじれの影響の方向性、および無偏心時に対する最大応答値の増幅度がとりうる上限値、などを大きく左右する。また、たとえば細長い平面が短辺方向の振動に対して偏心をもつ場合には、偏心比・弾力半径比のとりうる範囲は極めて広いと同時に、無偏心時に対する最大応答値の増幅度は上限でおよそ1.6ほどと大きく、正方形平面の場合の2割増しとなる。 つぎに等分布質量をもつ細長い長方形平面の剛性分布の具体例として、等分布剛性に一つの偏心要素を付加した剛性分布をとりあげ、無偏心時に対する最大応答値の増幅度について概観した。その結果、静的ねじれと相違するために注意を要する点として、つぎの点を指摘した。偏心比が小さいにもかかわらず、最大応答値の増幅度が上限値に達する可能性が、偏心を短辺方向の振動に対してもつ場合にも、また偏心を長辺方向の振動に対してもつ場合にもある。また、剛性の低い側の平面端部にくらべて剛性の高い側の平面端部の最大応答値が大きくなる現象が、偏心を短辺方向の振動に対してもつ場合の一部に見られる。 さらに、偏心を短辺方向の振動に対してもつ場合を対象として、上記の現象が生ずる条件を明らかにするためにパラメータ解析を行った。その結果、たとえば、偏心比が小さくても最大応答値の増幅度が上限値に達するのは、剛性の小さい偏心要素が重心近くに位置し、しかも減衰が小さい場合であることなどを明らかにした。くわえて、既に提案しているねじれ効果の簡便な指標の有効性を検証するために、これらの結果が指標により説明可能であることを示した。
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