試験体取り付け治具を設計・製作し、現有の大型疲労試験機でシーリング材の剪断疲労試験が行えるように改造した。次いで2成分形ポリサルファイド系シーリング材を用いて、剪断疲労試験方法の開発と一部実験に着手した。本年得られた成果は以下のとおりである。 (1)試験方法については、被着体としてはアルミボックスを使用することとし、300mmの長さの部材を用いて、通常使用される目地寸法のシーリングの試験が十分可能であることを予備試験により確認した。剪断変位量、ム-ブメント、温度等の疲労試験の重要なパラメーターの制御の範囲・精度についても検討した。 (2)シーリング材の剪断疲労に及ぼす断面の影響については、形状の影響について、特に凹形状の深さについての実験を行った。その結果、表面が直線である矩形断面より、多少曲率のついた凹形状のほうが、耐剪断疲労性が良好であること、凹形状が大きくなると耐疲労性は逆に低下することを明らかにした。また破断モードも影響を受け、凹形状が小さい場合は、シーリングの両端部分から破壊が進行するが、深くなると試験体中央部から亀裂が発生しそれがX状に成長し、さらに深くなると中央部で、被着体に平行に直線状の亀裂が成長することを見いだした。 (3)シーリング材の伸縮疲労との関係については、いずれも大きい変形時に疲労破壊が生じるため、剪断疲労は伸縮疲労試験から推察が可能と考えられ、その点について検討した。結果は疲労破断が生じる繰り返し回数、亀裂発生のモードも異なっており、結論としては、各独立しての評価が必要であると判断された。
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