剪断疲労破断に及ぼす断面寸法と断面形状の影響について、2成分形ポリサルファイド系シーリング材を用いて検討した。また応力解析を行い内部の応力状態を調べた。得られた成果は以下のとおりである。 1.断面寸法については、目地幅と目地深さの組み合わせを変えた9種類の矩形断面を持つ試験体について、剪断疲労試験を行った。形状係数(目地深さ/目地幅)を尺度として整理した結果、剪断変形率が同じならば、耐剪断疲労性は形状係数によらないこと、すなわち目地深さと目地幅の影響をほとんど受けないことを明らかにした。 2.断面形状の影響については昨年も検討しているが、本年度はさらに断面形状の種類を増やし検討した。その結果、凹形状が深くなると耐剪断疲労性が急激に低下することを明らかした。またこの場合も破壊モードも影響を受け、凹形状が小さい場合は、シーリング材の両端部分から破壊が進行するが、深くなると試験体中央部から亀裂が発生し、それがX状に成長し、さらに深くなると中央部で、被着体に平行に直線状の亀裂が成長することを示した。 3.シーリング材の剪断変形時の内部の応力状態を有限要素法により調べた。その結果、剪断変形率が大きくなるに従って、応力は高くなり、耐疲労性が低下する傾向が示された。また凹形状が深くなると応力の極大値が、目地の中央部分で急激に上昇しており、これが凹形状が深い場合にシーリング材中央部から亀裂が発生し、耐疲労性が低下する理由と推察された。
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