本研究では、まず、筆者らが提案している、知的ファジィ最適アクティブ制御の考え方に基づいて、既に独立に構築している制御シミュレーションシステムを、総合的に取り扱うことができるように、システムをオブジェクト指向的に分析し、これらを統合化したシステムの構築をWindow環境の下で行った。ここでは、AMD方式制振構造で、制振効果を大きく左右するパラメータとなる、AMDの付加質量・付加剛性等を、遺伝的アルゴリズムを用いて最適に設計するシステムの構築と、従来、制御方式や予測方法毎に個別に構築していたファジィ最適制御システムを統合化したディジタルシミュレーションシステムの構築Window環境下でオブジェクト指向的言語を用いて行った。 次に、構築した統合化システムを、分散環境の基で実行させることにより、実際の構造物制御システムを組み込んだ場合とほぼ同様の制御シミュレーションを実行できるようにシステムを発展させるための基礎的検討を行った。その結果、実際の実験システムを応用した分散型シミュレーションシステムの構築は容易であるが、DOS環境であるためユーザーフレンドリーなシステムの構築には難があること、また、Windows環境下のインターネットのブラウザを用いた分散システムの構築では、Windows環境が有する機能を用いることで非常に容易になった部分と、Windows環境のセキュリティが強化されたことにより、大きく制約をうける部分があり、コンポーネントオブジェクトのコントロールを含めた、Windows環境の有する機能を有効に活用できるシステムを構築していく必要があることが明らかとなった。 以上の検討結果より、分散環境下におけるファジィ最適アクティブシミュレーションシステム構築と、分散環境下でのシステム構築時に必要となる基礎的知見を得ることができた。
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