研究概要 |
本研究の目的は,コンクリート充填鋼管部材をラーメン架構のブレース材とする時に,ブレースの接合部が早期に破断しないという要求を満たす接合部の詳細を明らかにすることである。平成8年度は,各種ブレース接合部の単調圧縮・引張試験と門型ラーメン骨組に組み込んだブレース材の繰返し加力試験が予定された.ブレース接合部の単調圧縮・引張試験は,各種形式の接合部を含むコンクリート充填鋼管短柱試験片に対して,鋼管の径厚比を3種類(D/T=20,30,50,D:鋼管外径,T:鋼管管厚),加力方法を2種類(単調圧縮,単調引張),接合部の形式を3種類(1枚ガセットの管通しガセット継手,十字形管通しガセット継手,フランジ継手),ガセットプレートの割り込み長さを3種類として,合計42体の実験を計画し実行した。その結果,十字形管通しガセット継手の単調圧縮耐力に対する継手効率(フランジ継手の耐力に対する比)は,どの場合でも95%以上が期待できるが,1枚ガセット管通し継手では鋼管の径厚比によって影響を受け,D/Tが50の場合では85%〜90%しか期待できないことが分かった。引張試験では,十字形間通しガセット継手では,ガセットの割り込み長さが0.6D以上(日本建築学会鋼管構造設計施工指針による中空鋼管部材の継手に対する最小規定)あれば,ほぼ継手効率100%が期待できる上,破断箇所はすべて母材で,母材には十分な塑性伸びが生じた.一方,単調引張を受ける1枚ガセット管通し継手では,大半の試験片は溶接部の溶着金属あるいは溶接熱影響部から亀裂が発生した.ガセットの割り込み長さは,この破壊形式に対して有意性は認め難いが,短いと継手効率および母材の塑性伸びが低下する傾向が見られるので,少なくとも0.75D以上は必要と判断される。これらの結果を基に,繰返し加力用ブレース試験体と門型ラーメン架構の設計・製作を行った。現時点はこれらの実験の準備中である.
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