研究概要 |
本研究の目的は,コンクリート充填鋼管部材をラーメン架構のブレース材とする時に,その材端に適した接合部の詳細を明らかにすることである.平成8,9年度は,各種接合部を有したブレース材を門型ラーメン骨組に組み込み,繰返し加力を行う試験と,K型ブレースとして配置した骨組試験体に繰返し水平力を作用させる試験を行った.前者の実験変数は,継手形式(フランジ形式,十字型形式,平型形式)および鋼管の径厚比(20,30,50)とし,合計9体の実験を計画し実行した.本実験ではガセットプレートの割込み長さは実験変数とせず,前年度の単調載荷実験の結果を踏まえた上で,平型形式で1.5D(D:鋼管径),十字型形式では0.75Dとした.その結果,すべての試験体について破断は母材部分に生じており,どの継手形式も接合部として十分な性能を有していることが分かった.この他,コンクリート充填鋼管部材が引張を受ける加力側での骨組全体の最大耐力は,継手形式によって影響されないこと,また,圧縮を受ける場合でもその最大耐力はフランジ形式と十字型形式とでは差がなく,両者は接合部として同等の性能を持つことが分かった.平型形式は圧縮を受ける場合,他の継手形式と比較して座屈長さが長いため,最大耐力という点ではやや劣るが,材端部の断面形状から座屈変位の方向が一定していた.また,母材の破断時期は鋼管径厚比が大きいほど減少する傾向にあるが,継手形式による影響は見られなかった.K型ブレース付き骨組試験については,鋼管径厚比20と30の場合の2種類について行った.この場合,継手形式は平型形式とし,割込み長さは1.5Dとした.結果として,ブレース材と骨組の耐力との関係より,骨組の崩壊形が異なること,コンクリート充填鋼管部材の曲げ座屈耐力は引張塑性履歴を受けることによって中空鋼管部材の座屈耐力まで低下することなどが分かった.
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