研究概要 |
建物の地震被害を皆無にすることはできないので社会的に大きな混乱を引き起こさない恕限度がどの程度かを知ることは非常に重要である。戦後の大きな地震被害を引き起こした13の地震について地震後の社会的影響を新聞報道に表れた地震関係の紙面の比率で評価した。その結果、地震報道の割合は被害総量とくに死者数に関係すること,ほとんどの地震被害は2週間まで指数的に低減し、それ以後は疎らであることが分かった。3日間の平均地震報道率を25%とすると全壊数は110棟、死者数6名となる。4日目で報道率が5%となるのは全壊数は270棟、死者数13名となる。この程度の被害に抑えるためには地震動の特性と建物の特性を反映した破壊確率の評価と建物の分布が必要となる。 日本付近の地震ハザードを推定するために、地震の発生の特性が同じと見なせる区域を地震地体構造によって33個の面震源に区分し、信頼性の高い百年間の地震カタログよりリカレンスカーブを作成して面震源の地震発生パラメータを推定した。3つの期間の地震の観測の精度が異なる点は補正して定常的な値とした。これらのデータと金井式の減衰曲線を用いて極値分布を求め、ハザードマップを作成した。その結果、地震ハザードのモデルとしては最大加速度の平均値が1倍と2倍と4倍となるモデルが設定でき、各モデルの再現期待値とその変動係数が得られた。 建物の集積度それに対応する人工密度に反比例するように建物の破壊確率を設定すれば被害総量は一定にすることができる。その係数を地震都市係数として、それを地震ハザードのモデルとRC構造物を想定した強度モデルを用いて求めた。その試算例では、平均的な都市の人工密度を基準としてその16倍から1/8倍について計算した結果、地震都市係数は1.5倍から0.7倍になることが明らかになった。
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