研究概要 |
実験: 鋼管柱と4本の合成梁(H形鋼とRCスラブ)からなる単位立体架構について実験を行った.試験体の梁材軸は鋼管断面の対角線方向に一致させ,柱・梁接合にはダイアフラムを設けていない.鋼管は□-150x150x4.5,H形鋼はH-175x75x3.5x4.5で,スラブは1.8mx1.8mでD6の鉄筋が100mmピッチ(縦横)で配筋されている.実験変数は,鋼管柱:コンクリート充填の有無.加力方法:鉛直荷重時相当と地震時荷重時相当である. いずれの試験体もはり降伏が達成された.従って本試験体のように梁を柱に取り付ければダイアフラムを設けなくとも,梁降伏を保証する柱・梁接合部の設計が可能であることが確認された. 実験結果及び解析結果に基づいて,弾性剛性と最大耐力についてRCスラブの協力幅の検討を行った. 1. 最大耐力に関して: 鉛直荷重時相当の荷重を受ける試験体では,コンクリート充填の有無に関わらずスラブ筋が全て降伏しており,耐力に関する全幅は試験体全幅と判断された.しかし実験最大耐力に等しくなるスラブ協力鉄筋本数を求めると,柱が中空鋼管の場合はスラブ幅の約半分,柱にコンクリートが充填されている場合はスラブ全幅となる結果が得られた. 鉛直荷重相当の荷重を受ける場合(以下Vシリーズと略記)と地震時荷重相当の荷重を受ける場合(以下Hシリーズと略記)とを比較すると,Hシリーズの場合協力幅は極めて小さかった.Hシリーズの場合梁にねじりモーメントが作用するが,梁がH形鋼であるためねじれ抵抗が小さく合成梁端の固定度が低いことに起因する. 2. 初期剛性に関して: スラブが曲げ圧縮側となる場合は,スラブが曲げ引張側となる場合より,スラブの協力が大きい.またHシリーズ試験体では初期剛性に関してはスラブ全幅有効としたときの計算値が実験値と合うが,変形の増大と共に有効幅が急激に減少する.
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