研究概要 |
円筒シェルのタンクに供試体に水を入れ、水平地動を作用させると線形振動理論からは予測できない非線形応答が観測される。激しい応答に成長する非線形振動応答も存在することが報告されている。厚さ0.51mmの塩化ビニルフィルムを用いて、直径84.5mm、高さ200mmの円筒シェルタンク(頂部に厚さ8mmのアクリル板のフタを有する)を作成し、水平振動台に設置した。正弦波の地動加速度、振動数、および水高をパラメータとして変化させた強制振動実験を行い、応答曲線を観測した。水平振動の変位は非接触型の変位計を用いた。円筒の中央部に貼付されたひずみゲージで観測された16個のひずみ応答のフーリエ・スペクトルを分析し、円筒シェルの振動モード毎の応答曲線を算出した。この曲線からタンクの各周方向展開次数n(n=1,・・・,6)に対応する固有振動数を特定した。また、ある加速度以上の地動のもとで激しい分数調波振動が観測される外力振動数と振動モードの関係を検討した。水高に依存したタンクの応答曲線の測定、固有振動数の算定を行った。また、ある地動加速度より大きな加速度のもとである振動モードの1/2倍の分数調波の応答が分岐して生起する現象、生起する振動モードの固有振動数と外力振動数の関係を検討した。実験に用いたタンクでは周方向展開次数nが4、5、および6をとる振動モードの1/2倍の分数調波の応答を観測した。1/3倍の分数調波振動の生起の要因、周方向展開次数1の水平振動の高次振動モードが分数調波振動の生起に及ぼす影響も引き続き検討中である。
|