研究概要 |
本研究では,大規模構造物の屋根上積雪荷重の評価方法を確立するために,大規模構造物の屋根葺き材に用いられることの多い,金属材料,膜材料およびガラスを対象に滑雪実験を行った。同時に,札幌市および小松市に建設中の大規模膜構造物を対象に屋根雪の滑雪状況を連続的に観測を行った。 金属材料,膜材料およびガラスを対象に行った滑雪実験結果から,以下の点が明らかとなった。雪質が同一の場合には,材料の表面粗さ特性および撥水性を示す接触角の差異により,滑雪状況が大きく異なる。滑雪現象の発生のしやすさは,表面粗さと接触角の組み合わせに支配される。雪の含水状況が異なる場合,ガラスでは含水率の増加に伴い滑雪しやすくなる。これに対し,膜材料および金属材料では含水率20%程度までは含水率の増加に伴い滑雪しにくくなり,含水率がこの値を超えると滑雪しやすくなる現象を示す。このように,材料毎の滑雪条件を明らかにすることができた。 大規模膜構造物を対象に実施した滑雪状況の屋外観測から,以下の点が明らかとなった。屋根勾配が20°以上の部位では,外気温が-2℃程度でも滑雪現象が見られる。外気温が0℃以上になると,屋根勾配10℃程度でも融雪しながら滑雪する現象がみられた。今後、これらの現象を詳細な室内温度環境および外気温等と組み合わせ,解析する予定である。
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