首都圏近傍は、南関東地震に代表される巨大地震を始め、1855年安政江戸地震や1894年東京湾北部地震などの直下地震もしばしば発生し、更に東京湾北縁断層等の活断層もあって、サイスミシティの高い地域と思われている。しかも、東京湾岸域は埋立地盤など軟弱な地盤が多く、特に長周期構造物には厳しい立地条件である。この様な首都圏中枢部のインフラストラクチャが地震災害を蒙る場合の危険性や社会経済的な影響は計り知れず、その地震危険度を事前評価しておくことは必須の事柄である。そこで、東京湾岸域を対象とした地震危険度評価及び地震防災計画を行うための基礎的研究として、本年度は下記の研究を行った。 (1)首都圏の地震ハザードマップ検索システム構築の一環として、歴史地震史料及び活断層分布データに基づく地震危険度評価とそのグラフィイク表示の為のソフトを開発した。 (2)東京湾北縁断層の直上に位置する習志野市を対象に、地震時の斜面崩壊、液状化、出火・延焼、建物倒壊等に関する地震危険度評価を行い、これを基に各避難該当区の避難計画に関する現状の問題点を抽出し、併せて震災時の応急仮設住宅の建設計画について検討した。 (3)同じく東京湾北縁断層の直上に位置する船橋市南東部(面積にして市全体の12%)を対象に建築物の現況(構造種別、目視判断による築年数、隣棟間隔)の悉皆調査を行い、地震時における建築物の倒壊危険度評価及び火災延焼危険度評価の為のデータベースを構築した。 (4)兵庫県南部地震による神戸市の出火・延焼と市街地特性に関する考察を行い、更に習志野市を対象として、その消化能力の評価法検討し、併せてその現状を把握した。 (5)兵庫県南部地震による神戸市での上水道施設被害に伴う生活支障の実態を調査すると共に、上水道機能停止による生活支障の定量評価法と応急給水計画法に関して研究を行った。
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