コンクリートの劣化に大きく関係する熱水分挙動を推定する数学的なモデルの確立、ならびに数値的な予測手法の構築を目的とし、以下の研究成果を得た。 1 熱水分移動解析のための数学的なモデル化の実施; 多孔質媒体におけるエネルギーと物質の連成移動問題に対し、実際の数値解析を可能とする数学的定式化を実施した。対象がコンクリートであることの特殊性を考慮し、熱伝導・水分移動の連成挙動を数学的に表現する段階で、材料実験データを反映可能とし、高温の履歴までの温度範囲をカバーするためのモデルの修正を実施した(特に、水分の蒸発および液化の相変化の取扱いを可能とした)。 2 上記モデルについて、具体的にコンピュータでシミュレーションするためのパイロットコードを開発した。今回開発した数値計算手法においては、主として相変化近傍での数値解析の困難さを回避することに成功し、実用性のあるシミュレーション手法を提供することが可能となった。<以上、研究代表者が担当> 2 上述のモデルに組み込まれるパラメータであるコンクリートの透水係数について、種々の使用環境条件を容易に模擬可能で、かつ小型の実験装置を新たに考案し、設計・試作を実施した。その結果、従来一般的に用いられる大型の装置により得られる結果と同等の結果を、小型・ローコストで実施できる可能性を確認した。また、実際の構造物からサンプリングした試験片による試験の可能性を裏付けた。 <以上、研究代表者および分担者が共同で担当>
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