本研究は、建築構造物の固有周期の長周期化に対応するため、1秒から5秒帯域の長周期地震動の生成と増幅のメカニズムを解明することを目的としたものである。長周期地震動の生成には、深い堆積層が関与していると考えられるが、本年度はまずその現象の把握に努めた。 本年度の成果を以下に要約する。 1.堆積層厚が卓越周期に及ぼす影響 1)大阪平野(層厚約1500m)と奈良盆地(層厚約600m)で観測された1995年兵庫県南部地震の加速度波形を比較した結果、本震では余震にない長い周期の振動が主要動の後に顕著に現れ、その周期は奈良盆地に比べて大阪平野で長いことが明らかになった。 2)1秒を超える長周期、マグニチュード7.2や6.6のような大規模な地震で明確に現れ、大阪平野では4.0秒、奈良盆地では2.5秒が卓越する。これは堆積層厚の違いが卓越周期に影響を及ぼす事例の一つと考えられる。 2.地震観測点の新設 奈良盆地の中心付近に位置する大和郡山市横田町の治道小学校校庭に、1996年11月に地震観測点を新設し、観測を開始した。
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