研究課題/領域番号 |
08650691
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
大田 和彦 近畿大学, 工学部・建築学科, 講師 (70203784)
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研究分担者 |
在永 末徳 近畿大学, 工学部・建築学科, 教授 (10148760)
花井 正実 近畿大学, 工学部・建築学科, 教授 (50037719)
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キーワード | ブレース / 覆歴ダンパー / エネルギー吸収特性 / コンクリート充填鋼管 / ケミカル・プレストレス / 膨張コンクリート / 地震応答解析 / 降伏震度 |
研究概要 |
申請した研究計画に基づいて、下記の研究を行った。 1)鋼板履歴ダンパーの疲労特性向上のための実大実験 鋼板履歴ダンパーパネル部に普通鋼を用いると、せん断座屈やエネルギー吸収性能劣化の問題を生ずる。そこで、普通鋼パネル部に水平スチフナによる面外補剛を施したせん断抵抗材について、K型制振ブレース架構に組み込んだ時を想定した実大実験を行った結果、本せん断抵抗材は、弾性限界が小さく、大変形時にも優れた塑性変形性能を有し、面外変形を拘束する補剛を施せば、多数回の繰り返し載荷に対しても、エネルギー吸収性能に優れた紡錘型の復元力特性を持つことなどを明らかにした。 2)ブレース部材の力学的性能向上に関する研究 鋼管に平鋼を挿入したものに、高強度の膨張コンクリートを充填すれば、鋼管の拘束によるコンクリートのケミカル・プレストレスによって、引張・圧縮ともに剛性と強度の著しいものが得られる。このようにして作られた、制振ブレース単材のプレストレス分布や、繰り返し引張力に対する荷重変形特性、内部コンクリートの引張特性及び平鋼との付着性状などを明らかにし、本ブレース部材は、水比の少ない膨張性のよいコンクリートと高張力平鋼を使用することによって、高引張加力時においても極めて優れた性能を発揮することを示した。 3)制振ブレースの配置法と高層建築架構構造特性設定法に関する基礎資料の収集 制振ブレースが配置された鉄骨架構建築の地震応答特性を調べるために、軟弱な地盤で採られた多数の地震波に対して、一質点系にモデル化された弾塑性振動系の応答を求めた結果、本制振ブレース架構は、高層建築架構の地震応答を制御する上で、極めて優れた性能を有し、低降状震度で設計することができることを明らかにした。
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