研究概要 |
1.アトリウム空間の設計事例に関する文献調査 1981年以降の建築専門誌に掲載されたアトリウム空間約500件について、アトリウムの空間構成や規模、用途などを文献調査した。寒冷地型アトリウムは約1割のみで温暖地型アトリウムが多いこと、アトリウム形態は中庭型や重合一遮蔽型など熱環境の安定しやすいものが多いこと、初期のアトリウムは中庭型が主流だが、1990年以降形態が多様化していること、吹き抜け高さの最高は130m、アトリウム床面積の最大は14,000m^2であることなどが判明した。 2.最近のアトリウムの環境設計法に関するアンケート調査 最近の比較的ガラス面積の大きいアトリウム空間85件について設計者にアンケート調査を依頼し回答のあった49件について環境調整手法などを解析した。夏対策は建築的な手法で、冬対策は設備的手法で対応するという傾向があること、熱だまりをもつアトリウムのうち約25%は熱だまりの自然換気、約30%は強制換気、約10%はアトリウム全体の自然換気を行っていること、冬の煙突効果対策としてエントランスに回転扉を採用するケースは必ずしも多くないことが判明した。 3.アトリウムの環境調整手法と熱環境の実態調査 実際のアトリウムの熱環境と建築的・設備的環境調整手法を確認するため、東京、東北、関西のアトリウム約20件を測定調査した。東北地方でも夏対策が重視されていること、エントランスからの冬の外気侵入が激しいアトリウムが多いことなどが判明した。
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