横浜市ならびに周辺都市に居住する視覚障害者(有効270人)に対する空間認知における音情報の利用に関するアンケート調査を分析・考察し、以下の成果を得た。 1.バリヤフリーの観点から視覚障害者の外出歩行を支援するための様々な機器や設備が開発され設置されているが、健常者と視覚障害者の音の認知の仕方、利用の仕方の違いから様々な問題が生じている。またこれらの機器や設備への過度の依存は視覚障害者の行動を制限することにもなりかねないことが明らかとなった。 2.音利用は、危険回避のための利用から空間把握のための利用に発達していく。その分岐点は外部への活動が活発となる中学生の時期に当たる。 3.音響式信号機、車の音、歩行者の声、足音、商店から流れる音、電車の音等に対する利用のし方を用いて、視覚障害者を分類すると、空間の2次元的把握に音をよく利用しているグループと移動の目印利用に留まる1次元的空間把握のグループに別れた。空間を2次元的に把握することは1次元的に把握することに比べ、外出時にける自由度が大きく、視覚障害者にとっては空間を2次元的に把握する手段として音の持つ情報が重要である。視覚障害者が自助努力によって社会参加特に市街地の歩行経験を重ね、都市を楽しむためには音によって空間を把握していくことが重要である。 4.次の課題としては、2次元的なメンタルマップを構成するための訓練プログラム、訓練システムの作成が視覚障害者の外出歩行を支援するために提案される。
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