研究計画に従い、平成8年度は、先ず、建材からの汚染質の発生特性の測定に関する国内外の文献を種々の論文、資料等により調査し、整理した。データは膨大なものになり、また各文献の整理の仕方や特性を表す定義等も様々で、現在データベース化のための書式について検討中である。一部は、データベースソフトを利用して試験的なプロトタイプの書式によって入力済みである。このサブタスクは、平成9年度も継続してデータベースシステムの構築を進める予定である。次に、汚染質の発生特性の測定法を確立するための準備と一部の予備実験を行った。発生量を測定するためのテストチャンバーとして代表的な混合型と境界層型のチャンバーの設計とその製作を行い、チャンバー内および搬送系の表面処理、気密性等の検討を行った。また、汚染質として揮発性有機化合物(VOC)に着目して、その成分の一部を分析できるガスクロマトグラフを購入、セットアップを行い、分析手順の検討を行い、2つのテストチャンバーを使った予備実験を行った。これらは、平成9年度に本格的な実験を行い、チャンバーの性能評価および建材からの汚染質の発生特性の測定とそのデータベース化を行う予定である。次に、建材からの汚染質発生機構のモデリングについては、既往の研究のモデルの検証を主に行うと同時に新しいモデルの理論について検討した。このモデルを住宅の室内空気汚染濃度の予測プログラムに組み込んだ数値シミュレーションの結果の一部を国際学会で発表した。
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