研究計画に従い、先ず、建材からの汚染質発生特性に関するチャンバー実験およびそのモデリングに関する国内外の文献を調査・整理し、その一部はデータベース化した。次に、汚染質の発生特性に関する測定法を確立するためのチャンバー実験を行った。発生量を測定するためのテストチャンバーとして代表的な混合型と境界層型のチャンバーの設計とその製作を行い、チャンバー内および搬送系の表面処理、気密性、気流性状、温度分布等の検討を行った。また、汚染質としてホルムアルデヒド、揮発性有機化合物(VOC)に着目して、その成分を分析できるFID(ホルムアルデヒドについてはFTDを使用)ガスクロマトグラフ(GC)を用い、試料のサンプリング、成分の抽出などの前処理、抽出成分のインジェクション方法、GCの制御などの分析手順の検討を2つのテストチャンバーを使って行った。その結果、合板や塗料・接着剤等から発生するホルムアルデヒド等の温度、換気量、混合性状の違いによる濃度変動および汚染質の発生特性を明かにした。次に、建材からの汚染質発生機構のモデリングについては、既往の研究で提案されたいくつかのsource/sinkモデルを検証すると同時に、新しい物理モデルを提案し、モデルに含まれるパラメーターの感度解析を行った。さらにこのモデルを住宅の室内空気汚染濃度の予測プログラムに組み込んだ数値シュミレーション手法を提案し、数値実験を行い汚染質の発生・吸着・再放出による汚染質濃度の拡散機構を調べた。また、CFDを用いた汚染質発生のミクロモデル開発のための予備的な検討を行った。
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