建築及び都市の計画プロセスに利用されることを想定して、クリマトープ、地形分類、気流特性、汚染発生源の各地域分布からなる気候解析図を、神戸地域を対象として以下のように作成した。 (1)クリマト-ブ図は、土地利用カテゴリーに対応した地表面熱収支モデルから衛星リモートセンシングデータを利用して係数を仮定して地表付近の気温を計算し、衛星リモートセンシングデータから広域的な土地利用カテゴリーの地域分布を求めて作成した。 (2)地形分類は、50mメッシュ数値地図の標高データを利用して作成した。 (3)気流の地域分布特性及び気流交換作用に関するデータは、気象台のデータと自治体(神戸市)の大気汚染監視を目的とした風の観測所(10数カ所)によるデータとを使用した。それら観測所の風のデータを統計解析し、地域全体の傾向を把握し、同時に局所的に重要な地域循環気流など、例えば、夏季夜間の熱環境に重要な作用を担うと思われる谷風などについても調べた。局所的な有効な地域循環気流については、1カ所1週間程度で数カ所の短期測定を行ってデータの不足を補う方針とした。本年度予算で購入した無電源メモリ記憶型の風向風速計を用いて行うこととしたが、時間の関係で本年度は観測計画の立案と測定器の試験を行い、97年夏に本格的な観測を行う計画とした。また、平行して、数値計算による気流の地域分布の解析を行い、数値計算モデルとして2方程式モデルを用いた。今後、海陸風と山谷風の影響を同時に受ける対象地域の特殊な気流特性を考察する予定にしており、LESなど他のモデルについても検討する方針である。 (4)汚染発生源データは工場や幹線道路について、自治体の行政データから作成した。
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