研究概要 |
本研究の目的は、天井内や床下内を空調空気の吹き出し用サプライチャンバーとて、その輻射効果より快適性を高めながら、スラブの熱容量を躯体蓄熱に利用することにある。本年度は輻射伝熱を精度良く計算できるプログラムの開発に努め、放射吸収係数を用いる精算プログラムと,相当輻射気温法を用いる実用プログラムを完成することができた。また躯体の熱容量が蓄熱効果を発揮するには、緩やかな室温変動の許容が必要であり、従来の設定室温一定プログラムにはない巾を持った設定室温制御のアルゴリズムを考案した。この実用プログラムを使い、コンクリートブロックの外側に100mmの断熱をした3階建て住宅(札幌に実際に建設された)について、アジャスターフロア-の2重床を利用した夜間換気冷房のシミュレーションを行い、1997年1月に釧路で開かれたPassive and Low Energy Achitecture'97釧路国際会議で発表した。またモデル事務所ビルの夜間空調機運転による躯体蓄熱の特性について、天井チャンバー吹き出し空調方式を通常の空調方式と比較しながら精算プログラムを使って解析し、1997年6月に札幌で開かれるMEGASTOCK'97(国際蓄熱会議)に投稿し講演発表する予定である。 また研究協力者である藤原陽三氏が、北海道電力北見営業所の設備設計に実用プログラムを利用して断熱建物の特徴を生かした冷暖房負荷の軽減法について検討を行い、夜間空調機の運転法が採用された。来年度は、室蘭の営業所の設計と実測の予定である。
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