本研究は21世紀に向けての地球環境問題に対して、増え続けている民生用エネルギー、なかでも住宅用エネルギーを対象として太陽光発電システムの実用化を検討したものである。しかし、太陽光発電は日射の得られる時のみ利用可能なので、一日のうち随時電力を得るには、日中の発電量を蓄電しておいて夜間を含めて随時使用可能なシステムが望まれる。本研究では、天候、月平均日射量、負荷特性によって決まる太陽電池ならびに蓄電池の容量、そしてインバータ-の容量等の最適組み合わせを追究することを目的とした。 本報告では、先ず世界および我が国のエネルギー需要を概観し、太陽エネルギーなどクリーンエネルギーの利用技術の開発の必要性について述べ、次に太陽エネルギーおよび太陽光発電の現状と課題を概説している。第3章において1kW太陽光発電システムの実験装置(太陽電池モジュール1kW、インバータ1kVA、バッテリ-48V×200Ahの組み合わせシステム)を用いて、一定の負荷時における日積算の発電量、日射量、負荷量の関係と商用電源の使用について、各月ごとの平均値で年間の特性を明らかにする。また、水平面および30°、45°傾斜面の全天日射量と気温を測定して、季節、気候による発電効率等の影響についてみる。システム回路などの性能(効率など)を把握して、これらを基に、戸建て住宅を対象として、その電力需要と必要なシステム規模の算定を行い戸建て住宅における太陽光発電システムの実用化の展望を得ている。
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