研究概要 |
本研究の目的は、都市大震災に対し避難拠点として活動できる文教施設の新しい整備標準と支援ネットワークを策定することである。以下,本年の研究計画の項目毎に研究成果を要約する。 1避難行動調査:神戸市と淡路島を対象にアンケート調査を行い,神戸市では近隣住民が助け合って避難し,淡路島では役所や消防団による誘導のもとに避難したことが明らかになった。また,長田区では都市大火による延焼から逃れるために3次にわたって避難場所を変えた事例があったが,避難者の自力避難であった。主な避難所は,神戸市が学校で淡路島が地域集会施設であった。 2避難生活調査:最低限の人間生活は食事と排泄であるが,地震発生後3日間は最低限の生活も保障されなかった。学校建築は避難所の条件をもつが,寝る場所しか確保できないのが実状で,食事等の空間に欠け,現在の学校建築基準による空間は,長期の避難生活に適当とはいえない。 3避難生活関連情報のデーターベース化:新聞,雑誌から,避難行動・避難生活・コミュニティ活動・ボランティア活動等の新聞記事等の収集した。そしてデーターベースの構築を進めた。 4その他:地区内型避難行動がみられた長田区真野地区では,真野小学校が地区内避難所ネットワークのキ-ステーションとなり,支援活動の拠点となっていたことがわかった。そこでキ-ステーション活動を聞き取り記録した。 以上,研究計画以上の進捗があったが,学校を(収容)避難所に転用する場合,建築的に未整備な条件を明らかにすることができ,真野地区が支援ネットワークのモデルになることを明らかにした。
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