研究概要 |
本研究は,都市大震災に対して文教施設が避難拠点になるために必要な整備標準と支援ネットワークを策定することである。以下,本年の研究計画の項目毎に研究成果を要約する。 1,避難拠点消滅過程調査:2月中旬で学校への避難者は全体の80%にのぼった。神戸市の避難所数の消滅過程は区毎に違いがあり,都市大火があった長田区では避難所の減少はゆるやかであった。避難者数は,地震発生後3ヵ月後に半減した。8月には避難所は廃止され,引き続き避難生活に利用される施設には待機所という名称がつけられたが,10月中旬でさえ約2千人収容されていた。 2,避難生活支援状況調査:文教施設における避難生活を支援するネットワークは,行政主導型で形成された場合,地元住民主導型で行政と交渉して形成された場合,当初無支援状態の場合と,三通りあった。 3,情報データーベース作成:文教施設の避難拠点形成・消滅過程と,避難生活支援活動をデーターベース化して,写真や図面を組み込んだ情報データーベースを作成した。 4,地震発生時刻と文教施設の避難所化の問題:研究計画にはなかった項目であるが,昭和39年6月16日(火)午後1時に発生した新潟地震における文教施設の対応を調査し,学校の学童等が学校を脱出する過程から,文教施設の問題点をさぐった。 以上,文教施設を避難拠点に転用した場合の,運営管理に焦点をあてて,地震の状況と対応方策のあり方を分析した。
|