研究概要 |
本研究は,都市大震災に対して文教施設が避難拠点になるために必要な整備標準と支援ネットワークを策定することである。以下,本年の研究計画の項目毎に研究成果を要約する。 1, 避難拠点の活用条件の評価分析:学校施設が防災拠点になって機能する前提条件は,運動場も含めた学校施設に被害がないことである。もし被害を受けた場合,いかなる問題が起きうるかを考察した。そして児童・生徒の避難が問題になるケースも想定する必要があり,1964年新潟地震における学校被害と児童・生徒の避難行動フロー分析を行った。 2, 文教施設の建築的整備標準の策定:(1)構造強度(耐震性)の強化,(2)連担棟間の避難経路になる渡り廊下の耐震化,(3)雑用水の確保,(4)学校塀の生け垣・フェンス化,(5)システム天井の耐震化,(6)電気設備・給水設備の耐震化などである。 3, 支援ネットワーク策定の評価分析:兵庫県南部地震では,避難生活を支援する医療・給食・物資配給ネットワークは,自治体の管轄部局の違い,施設設置主体の違いなどで異なるネットワークがつくられた。日常業務のテリトリーが反映している。東京都の防災計画でも行政の縦割りに沿って支援ネットワークが作られることになっているが,排他的になり一元的なコントロールに問題がある。実効ある支援ネットワークの迅速な形成のためには,被害程度に応じて作動させる多段階アクション計画を提案する。
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